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プロゲーマーの「お金」に関する考察―その② [ゲーム]

前回のFPS編に続いて今日はRTSにおけるプロゲーマー事情について話そうと思う。一番詳しくない格闘ゲームは最後。




RTSとは「リアルタイムストラテジー」の略だ。最近はFPSも知られるようになってきたが、RTSは未だに知らない人も多いのではないだろうか。日本では「スーパーロボット対戦」や「ファイヤーエンブレム」に代表される「シミュレーションRPG」と呼ばれるターンベースのストラテジー(戦略)ゲームが人気ではあるが、それをターンベースでなくリアルタイムにして各ユニットを常に動かせるようしたのがRTSだ。戦争ゲームと言えば分かりやすいかもしれない。戦争ゲームと言っても、一人のキャラクターを操作するFPSと違って戦場の全ユニットを操作して自軍を勝利に導くのがRTSだ。


90年代後半から2000年前後に多くのRTSが発売されたので古めのものが多め

そんな中でも今回は、今e-sportsで一番勢いがあり盛り上がっているStarcraft2(以下SC2)とLeague of Legends(以下LoL)のプロ事情について、知っている限りを話そうと思う。




まずはSC2から。SC2は2010年に発売されたゲームで、人類の末裔である「Terran」、高度な文明を持った宇宙人である「Protoss」、他の生物を取り込み進化、侵食を続けるエイリアン「Zerg」の3種族で宇宙の覇権を争うゲームだ。プレイヤーは3種族の中から一つを選んでプレイする。ゲームの流れとしては、労働ユニットでフィールドに存在する資源を収集し、その資源で労働ユニットを使い建物を建設、そこから軍事ユニットを出して相手を攻めるという流れ。相手が降参するか、相手の全建造物を壊せば勝利である。メインは1vs1で、プロの試合も1v1で行われる。


試合内容によっては5分で終わる場合もあるし、この動画のように40分近くかかる場合もある

「Starcraft」と言えば韓国人が思い浮かぶ人も多いかもしれない。SC1は韓国国内で圧倒的な人気を誇っており、年収3000万円以上のプレイヤーも存在する(NHKソースゲームセンターCXでの選手へのインタビューから)上に、2000万円ほどのチーム間による移籍金が発生する場合があるほどだ(ソース)。

ただこれはSC1の話であり、残念ながらSC2はSC1ほど韓国国内で盛り上がっていない。韓国国内でのスポンサー集めに苦労しているチームも存在し、中には自前でアパレル通販サイトを展開、所属の選手たちがモデルとなって経営してチームの運営資金の足しにしているところもある。

それでもSC2の未来は明るいと言えよう。何故ならSC2は韓国国外でも人気があるため、世界中で大きな大会が開かれているからだ。実際、私が前回FPSに関する記事を書いてから今回の記事を書くまでの10日間で優勝賞金5万ドルのMLG(アメリカ)、3万ドルのDreamHack(スウェーデン)が開催、終了している上に、平行して優勝賞金4.5万ドルのGSL(韓国)、4万ドルのNASL(アメリカ)、そして賞金額は現段階で未発表だが、前シーズンでは優勝賞金3万ドルだったIPL(イギリス)が決勝戦に向けて着々と進行している。SC2では世界のどこかで毎日大会が行われているのだ。このリストに載っている大規模な大会の賞金総額を計算してみたが、2011年だけで250万ドル以上がSC2のe-sportsシーンに注ぎ込まれている。円高のこの状況で約2億円、しかも大会はこのリストだけではないので実際はより多い。試しに、上で紹介した動画で戦っているIMMVPの年間獲得賞金を計算してみた。さすがに全データを調べるのはしんどいので、先ほどのリストに載っている大会で1位と2位になった時にもらった賞金だけを計算してみたところ、20万ドルちょいという結果になった。年収となるとチームからの給与も加算されるのでそれ以上だろう。

また、チームにスポンサーがつくだけでなくチームに所属している上でパーソナルスポンサーが付くと、更に収入は増える。例えば、韓国で一番有名な伝説的プレイヤーSlayers_BoxerにはIntelが18万ドルを個人に支援、またBoxerがチームを作るのなら27万ドルを追加で支援するという話があり、結局BoxerはIntelと契約を結んだ。また、先ほどの動画で戦っている2人のプレイヤーは同じ「Incredible Miracle」というチームに所属しながらも、双方に個人スポンサーとして大手ゲーミングデバイスメーカーであるSteelSeriesがついている。

もちろん、SC2が今後廃れるのではないだろうかいう意見を持っている人もいるかもしれない。しかし、SC1は発売されてから13年経っているが、未だに韓国では(最近少し雲行きが怪しくなってきたが)人気がある。一方欧米のSC1プレイヤーはSC1と同じBlizzard Entertainmentが作ったWarcraft3(以下WC3)に移ってSC2が発売するまでの8年間、プロゲーミングを支えてきた。この前例で行くと、SC2が廃れるのはいつ出るか分からないSC3かWC4が出るときであり、あまり心配は要らないかと思われる。しかもSC2で培った技術をSC3、WC4にも生かせるので転向も可能。SC2は今最も未来が明るい種目ではないだろうか。




次はLoL。最初にRTSの説明をしたが、このゲームはDOTA、またはアクションRTSと呼ばれる類のゲームだ本来のRTSとは大きく違う。競技は5vs5で行われ、プレイヤーは多くの「チャンピオン」と呼ばれるヒーローユニットの中から1体を選択し、そのユニットのみを操作してプレイする。そして自陣から生み出される雑魚ユニットと共に戦線を押し上げ、敵陣のターゲットを破壊すれば勝利だ。日本の「無双」シリーズのように、雑魚がたくさんやってくるから、それを強力なチャピオンを操作してやっつけながら敵チャンピオンのkillを狙ったり、killされないようにすると言えば分かりやすいかもしれない。他に特徴としては、中立のユニットがMAP中に存在している。チャンピオンは敵を倒すことにより経験地を得てレベルアップしたり、ゴールドを得てアイテムを購入出来るのだが、敵でなくても中立のユニットを殺すことで同じような効果を得られるようになっている。


DreamHack SummerでのFnatic vs aAa

LoLは勢いが凄まじい。基本料金無料のタイトルなのだが、競技性のあるタイトルにしては珍しく登録者数が3200万人を突破。上で挙げた試合も同時視聴者数20万人(ソースには同時と書いていないが、ストリーミングを行っていたown3Dでは同時視聴者数しか表示されない)というとんでもない記録を打ち立てた。ではお金に関してはどうなんだろうか。上の動画の大会は優勝賞金5万ドル、5人で1チームなので一人1万ドルという計算だ。これだけでも結構な額なのだが、当然大会はこれだけではない。QuakeLiveを蹴落としてIEM 2011年シーズンの種目に採用された上に、世界中から選手が集まる年に1度のプロゲーミングの祭典WCGにも正式な競技種目として選ばれている。またアメリカのMLGでも採用されている。IEM、MLGといった大会は年に数回大会が開かれるのでプロゲーミングにとってはかなり大きい。

更に、開発元のRiot GamesはSeason2と称し500万ドルもの資金を様々な大会に賞金として提供していくという。これまたe-sportsでは聞いたこともないような額だ。しかし、これに関しては賛否があると思われる。ポジティブな意見としては、500万ドルも出してくれるんだしプロゲーミングシーンも盛り上がるしで悪いことはないという意見、もう一つはこれが恐らく継続しないであろうという前提の元での批判。会社側が賞金を出すというのは宣伝目的やコミュニティへの還元としてたまにあることだ。しかし、100万ドルを超えてくると果たしてそれで良いのかという疑問は出てくる。すべての関係者にとってベストなのはスポンサーが多額の出資をしてくれるゲームになることで継続的かつ高額な賞金が設定される大会を開くということだろう。500万ドル提供したのは良いけれど、ゲーム運営がうまくいかなくなって、最終的に運営が終了してしまっては元も子もない。一方で、これが更なる起爆剤になるという考えもある。Riot Gamesは当然そう思ってるんだろう。こればかりはどうなるかイマイチ分からない。ライバル候補としてvalveのDOTA2も控えているので、Season2が終わるまでLoLが今後どうなるかは分からないというのが正直なところだ。

プロ契約の形態はCS1.6のようなプロゲーミングチームとの契約形式だと思われる。例えば、上の動画で戦っているのは片方がFnaticだ。これは前回紹介したとおりCS1.6のチームも所持している大きなチームだ。もう片方のaAaも2000年からある複数の種目を扱う古いチームのようだ。頭角を現したチームにはプロチームからオファーがあり、契約するとそのプロチームの名前に改名、というパターンだと思われる。間違っていたらご報告を。どちらにせよ、LoLに関しても給与は与えられる上に年間を通して大会は存在する。しかしチーム競技というのがネックだ。今年は上の動画の大会に加え、IEMでは1.2万ドルが4回、MLGでは1.5万ドル以下が2回。他にも大きな大会は存在するが、CS1.6より数も賞金も少ない感じがしなくもない。更にチーム内ではCS1.6チームより給与は多くないはずだ。とりあえず、Season2では賞金額が増えるはずなので、その後どうなるかが課題だと思われる。3200万アカウント、同時視聴者数20万という数字を達成してるのだから、数字的には他のどのe-sportsタイトルよりも強く、かなり伸び白があるはずだ。




LoLにはそこまで詳しくないのでご指摘があればお願いしますという感じ。LoLはプレイしてる人数が多いし、競技性もある、なのにCoDみたいに競技に目を向ける人が少ないんだろうか?CoDは競技性ないと言っちゃえば終わりだけど、LoLはあるんだから・・・ただDOTA2がもうすぐ来るからRiot Gamesとしてはうかうかしてられない。早急にDOTA系の中でのe-sportsタイトルとしてLoLを確立させる必要がある。
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